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クモデコラム
COLUMN

2023/8/21

2023年8月 ビッグモーター社と独立起業

学生の頃、車が必要になったので知り合いから「30代前半の遊び人の中古車屋のAさん」を紹介してもらった。Aさんは日に焼けた愛嬌のある人だった。毎日、派手に飲み歩いていたし、周りに女性も多かった。学生ながらそれもカッコよく見えたのだろう。これも縁だと思い、中古車探しを依頼。60万円ほどの車を購入した。学生には60万円は大金だった。

しかし翌月のある夜のこと、運転中、異音と共にエンジンが止まってしまった。結論から言うと、タイミングベルトが経年劣化にて切れ、その影響でエンジン部品の交換が必要になったとのこと。Aさんは納車したばかりで申し訳ないと申し訳なさそうだったが、学生の私は修理費がどの程度なのか、保証はあるのかをAさんに問い詰めた。

Aさんは「うちの責任もあるから修理費用の半分は負担する」と言った。修理見積もりが60万円だから30万円を負担するということで話はついた。修理後、車は順調だったがその一件で遊び人のAさんとは縁が切れた。

後日、たまたま会った共通の知人からこんな話を聞いた。

蜘手さんの車、もともとの修理費は30万円。学生で相場もわからないだろうから見積60万円と言っておけば大丈夫だと言っていたようだ。そういえばAさんの事務所は原っぱに2〜3台の車が置いてあるプレハブだった。今、思えば中古車屋というよりただのブローカーだったのだろう。学生相手にボロい商売をしていたと聞いた。

中古車の購入は自己責任である、とその時に知った。学生だから相場を知らない甘さはあったと思うが、正直に言ってくれればよかったのに、と残念に思ったことを今でも覚えている。30年以上前の話である。ちなみにその車はほどなく後輩に売却、馬券の支払いに充てた。Aさんもいい加減な人だったが、当時の私も相当いい加減な暮らしだった。

閑話休題。

中古車販売大手のビッグモーター社が世間を大きく賑わしている。きっかけとなったのは顧客から修理依頼を受けた車にマイナスドライバーやゴルフボールなどを使って故意に損傷箇所を増やして損害保険会社へ請求した、という告発。水増しされた保険金を受け取り、工場の売り上げに計上していたことが明るみになったことだ。不正行為は組織ぐるみで常態化していたと判明した。社内での過酷なノルマ、店頭前の除草剤の散布など、現役社員や元社員からさまざまなリークも続いている。

さて苦境に立たされたビッグモーター社は今後どうなっていくだろうか?非上場企業であるから株価はまったく気にする必要がないが、銀行団や損保各社はそうもいかないだろうと思っていたら、信販大手のジャックスは新規取引を停止、銀行団は8月決済予定だった90億円の借り換え要請を拒否したと報道があった。

年間売り上げ7000億円、社員数6000人の決して小さくない取引先である。影響は当然大きいだろう。私見だがビッグモーター社はこれまで通りにどこよりも高く買い取り、どこよりも安く販売できるなら、一時的な法人客離れがあったとしても一般顧客は離れないのではないかと思う。なんだかんだ言ってもニーズあるところに売り上げがある。

BtoC事業は意外にしぶとい。さてどうなるだろうか。

さて今回のビッグモーター社の不祥事でネット上に社内情報が拡散・散見している。驚いたのは社員の給与の高さである。平均年収は1109万円で、店長になると4000万円を超える人もいるという。

住宅業界では「高給取りになりたい」といって不動産業界に身を投げる人を多くみた。自動車業界では給与面だけで判断すると根性とガッツがあればビッグモーター社は魅力ある転職先だったのかもしれない。ただ高給を手にした人たちは生活レベルが上がっており転職が難しい。そうなると起業が選択肢に入ってくる。ビジネススキームが比較的単純で大手である必要がない業種であればなおさらだろう。高給は会社を急拡大するエンジンになるかもしれないが、同時に競合先を作る遠因にもなりえると感じた次第。どうりで中古車屋はこの10年、かなり増えたと思う。

「ニーズあるところに商売あり」でいえば採用支援会社、採用サイトは雨後の筍のように増えた。元〇〇社という同業大手からの独立、起業がほとんどだ。過剰供給になれば単価は下がるものだが、官民、大手、中小問わず日本中の全ての組織で人が足らない現状を考えると採用会社バブルはまだまだ続きそうである。

いずれにせよ商売は「誰から買うか」が基本。身を律しなくてはいけないと感じた次第。