●リノベ
今年、魔法のリノベというドラマがテレビで放映された。
これまで「リノベーション」というのは、マンションや賃貸アパートの価値をガラリと変えるようなデザインリフォームだという共通認識があったが「リノベとは大きめの改修工事のこと」という認識が消費者の間に広く認識されつつあることを感じた。
さて2022年はその「リノベ」の反響が非常に多い年だった。
理由の1つは、資材高騰やインフレの影響により新築検討者が大規模なリフォームをするという新築からリフォームへのシフトだと考えられるが、反響そのものが増えたのは市場への広告量が増えたことだと思っている。
2022年は新築需要減を見越した新築工務店やリノベ需要を拡大したいリフォーム会社などがコンサル会社などに指導を仰ぎ、リノベ市場へ参入。チラシ、HP、ショールーム開設、モデルハウス改修などの市場への広告投資が増えた。
弊社のエリアでも新築で業績を伸ばした会社が、2020年あたりからリノベに本格参入し広告を増大。その結果、何も広告をしていない弊社の反響がグッと増えた。
この仮説が正しければ新築需要が増え工務店がリノベ集客を控えると広告増大の恩恵を受けていた私たちのリノベ集客も減ることになる。
その時には自社で本格的にリノベ集客をしなくてはいけなくなる。
蛇足だが私は年末からの金利上昇圧力を受け、2023年は新築需要が増えると見ている。ローコスト新築、分譲住宅は堅調に推移するのではないか。
●水廻り交換と外壁・屋根
私がリフォーム事業へ参入したタイミングで生まれた市場がローコスト住宅である。
コンサル系のローコスト研究会やグループ系のVCなど雨後のたけのこのように支援団体が生まれたがその1つにナック社がある。そのナック社の初期の顧客で九州・四国の住宅販売から全国へ拡大したのがタマホーム社である。ローコスト住宅市場拡大の歴史はタマホームの歴史そのものだといっていい。
それまでのハウスメーカーは特にデザインや住み心地といったことより高品質な水廻りと外壁を提案していた。当時の積水ハウスの営業をしていた人の話を聞くと、特に水廻りは最高級品を提案していたという。
ローコスト住宅はそこに目を付け、まず水廻りと外壁の品質を最小限にした。
水廻りメーカーとの間での年間販売量と仕入率の「握り」による仕入れ価格低減もこのあたりからスタートしている。
結論を言うと、この築25年以上のローコスト住宅が水まわりと外壁リフォームの需要期と重なる。ローコスト住宅だから高級キッチンや間取りを大きく改修するというニーズではなく、子供が自立したのを機にトイレの入れ替え、システムバスからシステムバスへの交換など費用を抑えた単純入れ替えニーズがメインになるだろう。
交換需要のリフォームの施工価格をどこまで抑えられるかがポイントになる。
●エコキュート
2022年はエコキュートの2回目の取り替え需要が全国的に顕在化した年だった。
これまでガス給湯器など半導体不足などで商品が不足し需要に追いつかないケースはあったが、エコキュートは増産しているのにも関わらず供給が追いついていないという1年だった。
そうなるとエコキュートの集客も難しくない。アナログ集客のチラシ、デジタル集客のLPも低単価での集客ができた。機動力のある施工体制と即日設置ができる在庫量があれば新しい事業として十分に成り立った。エコキュートバブルだといっていいだろう。
さてこの傾向は2023年も続くだろうか。
各メーカーのエコキュートの増産は軌道に乗ってきており流通は改善するだろう。
取り替えの仕事自体は単純だからモノがあれば低単価での受注でも成り立つ。流通が改善されると低価格競争が始まるのは避けられない。
他に不安材料があるとするなら電力会社による電気代の強烈な値上げだろうか。オール電化住宅の維持コストが高くつく時代になった。
2023年は電気代を軽減するためのリフォーム提案がじわじわと拡がることを期待している。