2022年6月 姫路城見学と持続性のある経営
先日、神戸でのミーティングを終えた翌日、姫路まで足を伸ばし姫路城を訪れた。今回が2回目なのだが、前回は「平成の大修理」の最中(正確な日時は失念したがおそらく2014年)だった。
当時、関西在住の先輩経営者に
「天守の外部を間近で見ることができるのはこの機会しかない。リフォーム経営者なら見ておいた方がよい」と勧められ、見学に行ったのだが「天空の白鷺」と名付けられた工事用の巨大な鉄骨の素屋(工事用の仮設)が印象的だった。
見学では 「天空の白鷺」の専用エレベーターで一気に8階40メートルの展望スペースまで移動し、ガラス越しに天守最上層の屋根と軒唐破風を目の前で見ることができ感動したのを覚えている。
(平成の大修理とは姫路城の大天守の外壁しっくいの塗り替えや屋根瓦の葺き替え、耐震性を高める補強をした工事で2009年から2015年の約5年半で事業費28億円。修理後は「あまりに白すぎる」と話題になった。)
「工事完成したらぜひ訪れみたい」と10年近く経過し今回がその機会となった次第である。
さて「白すぎる」と話題になった別名「白鷺城」の名をもつ姫路城は、年数の経過と共に白さは落ち着いた色となり、厳荘で趣のある立派な城へと変貌していた。ただ「あれ、こんなに小さかったっけ?」と思ったのは前回、外部を取り囲む「天空の白鷺」の巨大すぎるイメージがあったせいかもしれない。
姫路城は慶長14年(1609年)に建築された城で内部は5層7階建になっている。今回は天守内まで見学することができた。
天守の見どころはたくさんあるが私の目を引いたのは大きな建造物を支える2本の柱、東大柱と西大柱だった。西大柱は大天守の3階で上下に継ぎ合わされている2分割の柱で、巨木が利用されている。継ぎ合わされた長さは約24メートルにもなる。もう一方の東大柱は地階から大天守の5階までの通し柱になっている1本の木であった。長さは約24メートル。驚くほどに立派な柱だった。
「1本の木で24メートルの柱ってすごいな。どうやって施工したのだろう」とその技術の高さとスケールの大きさに驚いた。
見学中、近くの団体客のガイドの話を盗み聞きしたが、姫路城は数多くの戦禍、災難、災害を乗り越えてきた奇跡の城だということらしい。歴史を支えてきた圧倒的な柱の存在にはただただ感服。
見学中の資料を読んでいて、もう1つ興味深かったのは「大天守六階の一階に対する地間面積の比率は二割二分で、最も理想的な低減率とされている。」ということだった。建築物としてのバランスが良いということに他ならない。今から400年以上も前に建造され、今もなお現役でいられる姫路城。
「しっかりとした土台。重量を支える柱、理想的なバランス」会社経営そのものだよなと感じた。
「しっかりとした理念。組織を支える人材。理想的な成長。」
理念なき経営では幾多の苦難を乗り越えられないし、バランスに欠けた人材採用・登用は組織を弱くするだけだ。
また成長拡大を急げば財務面でのリスクもはらむ。私たちはつい短期的な結果を求めるが、時間をかけ長期的に地道に積み上げる経営も必要だ。
(うちの会社はどうなのだろう)
弊社も成長してはいるものの、落ち着いて仕事ができ安定感のある社員はまだまだ少数。短期的な利益を追ってきたが、時間をかけてすべきことはたくさんあると感じた姫路城の見学だった。
永続性のある企業の本質とは何か?を改めて考えた次第である。
姫路城は立派だった。それを見習った企業にしたいと思った。
仕事、社員と向き合おう。そう思った次第である。