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クモデコラム
COLUMN

2022/5/30

2022年5月 美味しい食事と楽しくなかった時間

この店はミシュランを取っていてその地域では有名な鮨屋。食べログでの評価も大変、素晴らしく、予約をしてからずっと楽しみにしていた。

 時間指定があり夕方は2部制らしく17時スタートで18時30分まで。少し短いかなと感じたが、ま、そんなもんかと当日、店へ向かった。

 到着はちょうど17時。店内は満席だった。つまみにするか、握りにするかを聞かれてテンポよく始まった。

 地元の魚を使った料理や鮨はとても美味しかった。工夫もされていたし、確かにこれなら評価も高いはずと感じた。ただ1時間半はやはり短かった。最後になって、巻物と追加の握りを頼んだ時、怪訝そうな顔をされ、食べ終わる前に「伝票用意して」と私に聞こえる声でスタッフに声をかけていたのを聞いて時間を見たら18時30分。もう次のお客さんが玄関のところまで来ていたのが見えた。

「18時30分って、次の客のスタート時間かよ」とその時、気づきチェック。

はっきり言って気分がクソ悪かった。鮨は旨かった。でもこのシステムならたぶん二度と行かないと思う。

モノよりコト。自社のことを振り返った。顧客を大切にしようと考えた次第である。

閑話休題。

ウッドショック、資材・商品の遅延、価格高騰、ウクライナ問題や金利上昇、さらにこれからコロナ資金の利払いや返済開始とポジティブな情報が見当たらない環境の中で新築業界、特に地場工務店、ビルダーは現状、そして今後をどのように見ているのかを知りたかったこともあり、5月初旬から業界関係者の方々と情報交換を多くした。

一言でいえば、難しい状況にあるというのが感想だった。

 少しご紹介すると新築集客(引き合い)は今年に入り(特に2月あたりから)極端に減った。また検討期間が長くなっている、契約までのスパンが長期化しているという傾向も出ている。

 工事中に仕入れ価格が上がってしまうということについては対策ができているようだが、足元の不安定さは残ったままである、という感じだった。

一方、例えば坪単価の高いハウスメーカーで検討していたが、予算が上げられないため坪単価の低い工務店やビルダーを検討に入れたという顧客も少なくないらしく、その受け皿になっている会社は受注が好調なようだ。

もちろん何事も二極化が進んでおり勝ち組、負け組があるのは世の常。全ての企業が苦慮しているわけではなく受注を伸ばしている企業もある。

しかしいずれにせよ新築一本で右肩上がりの成長曲線を描ける企業は数少なく、戦略そのものを見直す必要性、その危機感を感じている経営者は多い、というのが情報交換をした結論だった。

 リフォーム会社の状況はどうか。2月・3月あたりから中規模、大型改修の引き合いが増え、普段は比較検討されない企業規模が大きな会社と競合として当たることも増えてきた。また早く完工したいと急かす顧客も目立つようになってきた。新築業界とリフォーム業界は似て非なるものだが、このあたりは双方の市場が連動していると考えられる。

 こうなってくると予測されるのは、以下のような動きだ。

 新築受注が減ったので、これまでの顧客に対しリフォームをしたいが小さい工事や単品交換は売上に寄与しない。だったら得意の大型改修で勝負しようかという会社向けにコンサル会社などが「ビルダー・工務店向け大型改修受注のリフォーム、リノベーションパッケージ」を売り出す。旬なのはリノベーションモデルハウスで集客し、坪面積・定価額で受注するものだ。

 定価額受注なので、受注はうまくいく。

しかしコンサルからもらった原価表を参考にしても原価管理や工事がうまくいかず「やってみたけどリフォームって大変だ」と気づくのが早くて半年から1年後。

主力を投入して本気でやれば 事業の風向きは変わるだろう。しかし新築受注で成功をしてきた会社が、軸足をリフォーム業に鞍替えするというのは、簡単ではない。

過去の経験を足かせにしてはいけないと自省する次第である。