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クモデコラム
COLUMN

2019/2/7

2019年2月 厚労省の不祥事から思ったこと

厚労省は一体、どうなっているのか。私たちは、厚労省から何を学ばなくてはいけないのだろうか。

エントロピー増大の法則というものがある。
科学者解釈ではなく、一般解釈で説明をするとエントロピーとは「無秩序の度合いを示す物理量」のこと。秩序のある状態をエントロピーが少ない、無秩序な状態をエントロピーが大きいと言うことになる。
エントロピー増大の法則とは「自然(世界)は常に、エントロピーが“小さい”から“大きい”という方向に進む。すなわち自然は“秩序から無秩序へ”という方向に進む」ということである。

形あるものはいつかは壊れ、生命にも終わりがあり、物事には変化や分裂があるのがこの世、という仏教の“諸行無常”思想と重なるところもあるが、エントロピー増大の法則の解釈では、自然は常に無秩序な方(エントロピーの大きい方へ)へ変化し、進行しているということになる。

生物学者であり青山学院大学教授の福岡伸一先生の言葉を借りると

「例えば私たちが、100年以上も浸食や風化に耐える頑丈な建物を建てようとしたらどう考えますか。地下深くに基礎を打ち込み、 頑丈な素材を用いて堅牢に作ろうと発想します。修繕しながらならば、100年以上も耐えられる建物ができるかもしれません。でも、1000年、1万年後はどうでしょう。おそらく風化に耐えられず、朽ち果てて何も残らないでしょう。私たちは宇宙の大原則である「エントロピー増大則」に支配されている以上、築き上げたものは崩れ、秩序あるものは無秩序化する。1つの場所で止まっていることはできず、分散していきます。整理整頓したはずの机の上はぐちゃぐちゃになっているし、淹れたてのコーヒーは冷める。熱い恋愛も冷めるんです」

つまりそのままにしておくと全ては無秩序、言い換えれば劣化や悪化するというものだ。
では生物はなぜ38億年の間、朽ち果てることなく生きてきたのか

福岡先生曰く、「エントロピー増大則」が襲って来る前に、先回りして自分でどんどん細胞を壊し、新しい細胞を常に生み続けてきたからに他ならないと言っている。また、“壊し続ける”ことで状況が不安定になるが、ゆえに次のプロセスが立ち上がり、全体のバランスを保とうとしてきたからなのだそうだ。

「分裂と統合」と同じく「エントロピーの増大と合成(自己組織化)というサイクルを絶え間なく続けている。これを「動的平衡」と福岡先生は呼んでいる。

前置きが長くなった。このエントロピーの増大の法則が自然法則であれば、私たちの身の回りや組織にも当てはまることはあるのではないか。社員が辞めた、赤字になった、クレームがあった等、私たちは何か悪い結果になると、及ぼしている問題を探す。そしてそこに焦点を当てて解決しようと試みてきた。

しかしこの世界ではエントロピーは増大するのだから、何かが起こった時が問題なのではなく、実は何も問題がなさそうな時、むしろ順調に事が進んでいる時にも、破壊し改善しなくてはいけないことがあるということだ。

厚労省の問題が私たちに教えてくれるのは、“何か問題があった時”の対処方法が問題なのではない。日頃の業務や順調に進んでいる毎日の仕事の中に“無秩序”に繋がる悪果が進行している何がに気付かなくてはならぬということだ。

叱られなければいい、バレなければいい、分からなければいいと放置している事柄は間違いなく無秩序の方向へ進行し、大きな問題となって表面化する。

私たちは何もない時、また良い状態の時には気づきや学びを得ようとはしないものだ。
自然は常に“無秩序”な方向へ進もうとしている。動的平衡とは、超概略的にいえば、絶え間なく変化しそれぞれ不安定な状態のものが、お互いのバランスを取るために高次元の安定をもたらしている状態のことをいう。

エントロピーが増大する前に問題を見つけ、破壊し、知恵を絞り、改善する。

悪い時だけ学ぶ姿勢を持つのではなく、良い時にも慢心せず、常に学び改善する姿勢をもつ。
と、自分で書いておきながら、いやはや頭が痛い限りである。


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