10月1日、消費増が10%となり、それに併せてキャッシュレス決済の還元事業が合わせて開始された。報道によるとコンビニや小売店などを中心に、現金を使わない決済が急増しているという。店頭の価格やシステムなど多少の混乱があるようだが、事始めには致し方ない部分もあるだろう。
弊社でも各店にクレジットカードの決済端末を用意し、決済をスタートさせた。キャッシュレス還元事業の登録申請は8月中にしたものの、時間がかかっているようで、こちらは連絡を待つしかない状態であるが、早速、リフォーム顧客のカード決済依頼があるようだ。今後も増えてくるだろうと思う。
それはさておき、消費増税が施行され10%となった。報道規制があったのかはわからないが、メディアは9月に入ってから増税を大きく報道するようになった。その影響か、弊社ではJackグループ共同チラシを9月序盤に折り込んだが、半端ない数の反響があり、おかげさまで営業的には活況を呈した。(反響について私が主催する研究会メンバーに聞くと、9月に駆け込みがあったという声もあれば、全くなかったという声もあった)
私は集客については、駆け込みがあれば反動があり、駆け込みがなければ反動もないと考えている。10月に入ってまだ数日だが、弊社についてはここまで小さい案件が多いものの、集客数はさほど減っていない感じだ。各社各様だろうと思うが、落ち込みがあったにせよ2014年の増税の際とは明らかに違うと感じている。
思い起こせば、弊社にとって2014年の増税の駈込み、そして反動減は悪夢であった。
増税前は完工現場の原価増、突貫工事に起因したクレーム対応、またメーカー工場が積雪で倒壊し、商品の遅延という事故も重なったため現場は混乱をした。増税後、駆け込みも大きかった分、反動減も大きかった。
弊社はその時、新築が売上の7割を占めていたのだが、その新築部門が大きく減少。新卒スタッフの採用、店舗出店も重なって経費出費も増えたこともあり、2014年決算は大きな赤字を出すことになった。
「何もかもを変える。二度とこんな思いはしない」と幹部社員に伝えたのを昨日のように覚えている。
まず私は弊社のストロングポイントが何かを考えてみた。増税前までは「差別化」が私たちのそれだった。しかし情報社会になり差別化は非競争を生み出すわけではないと知った。
次にヴィジョン、ミッションを再考した。特にミッションは後に私たちの根幹となる「10年後、10倍」をこの時に立案した。これは10年後に10倍にするという意味もあるが、10年後、10倍にならない事業はしないという意味も持つ。
10年後10倍になるか?ここで新築事業の撤退を決めた。当時、売上の7割を占めた新築事業を緩やかながらも撤退をすると言った時、幹部社員の誰もが(嘘だろ)と思ったはずだ。しかし実際の現場は疲弊しきっていた。
撤退とは勇気ある判断かもしれないが、現場との軋轢は生まれた。それを機に退社する社員もいた。今、思えばあの増税ショックは弊社にとって大きなターニングポイントだったと思う。
大きな赤字を出した2014年の翌年から、リフォーム事業の規模拡大を決断。社員研修をスタートし、営業研修を今なお毎月開催している。不動産事業、LCR事業に着手したのもこの時期である。粗利率の向上、組織の再構築、給与・評価制度など改善すべきことに順次、手をつけていった。
新築事業の旗艦店だった名古屋店は受注残もあり即時、撤退とはならなかったが2018年に撤退した。
2014年の悪夢から社員と一丸となって七転八倒した5年。
2019年12月の決算予測が出てきた。まだ予測の範囲だが2014年から粗利額は約2倍。新築比率は5%未満となった。粗利率、営業利益率も改善した。今だから言える。あの増税のショックがあったからこそ、今がある。
さて今回の増税。どうなることかは神のみぞ知る。
しかしどんな状況でもあの時の苦労を思えば大したことない。
KUMODE