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クモデコラム
COLUMN

2020/5/6

2020年5月 自粛警察と密告制度

大阪府が4月24日、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を受けた休業要請に応じないパチンコ店の公表に踏み切った。

会見で吉村知事は「パチンコ店に電話をしても無視される、ガチャンと切られる」などとコメントしていたが、店名公表の翌日も2店舗で営業が確認され、なんと開店1時間前の午後9時過ぎには整理券を受け取るために約150人の客が並び、開店時には300人に達していたというから、行政も舐められたものである。

パチンコ店の意見は「そもそも三密じゃない」や「経費がかかるからやめられない」、並んでいる客は「家にいても暇だしストレスが溜まるから」「ニュースを見て、やっている店があると聞いて」という意見だった。

パチンコをしない私的には、ま、どっちも頑張れといった感じであるが、社会が敏感になっていることには違いない。

今回、自粛要請の対象であるパチンコ店の“自粛しない営業店”が発覚したのは、府のコールセンターに寄せられた「約640件の通報」であった。最近、緊急事態宣言下で営業を続ける店舗などに張り紙などをして非難する“自粛警察”が話題になっている。

パチンコ店のように休業要請を対象した店への抗議ならまだ理解できるが、行政の休業要請対象外の店にも“なぜ営業するのか”と抗議をし、外出をしている人や公園で遊んでいるを見て警察に通報する人までいるという。

先日の中日新聞では記事として取り上げていたが、SNS、警察への通報、メール、ファックスなどの情報のほとんどは匿名の人で、店先に張り紙や“バカ、死ね”と書いたメモを置いていく人も匿名である。

思うに、自粛警察が正義の味方を気取るのは全く構わないが、匿名だとただのマスターベーション。抗議、文句があるなら実名で言わないとダメだね、というのが私の意見。それだと小さな声が聞こえなくなるという人がいるが、面と向かって言えなくても、実名で行政に電話するくらいはできるだろう。

本気で変えたいなら直接言えよと思う。

この“通報”、日本には類似した意味を含めてさまざまな表現がある。密告、告発、チクリ、チンコロ、タレコミ。

そこで気になって世界の監視社会について調べてみると、世界では密告が制度になっている国があった。

お隣、韓国では密告通報奨励金というものがあり、チクれば報奨金がもらえるようだ。ネットの情報になるが、交通違反、食品衛生法違反、映画の違法ファイルを流した人、税金滞納者の財産を見つける、牛肉の原産地表記がされていない、タバコの投げ捨てを写真に取るなど、冗談と本気とも取れるようなものが実在(もしくは実在した)らしい。また「不便届け」というジャンルで、密告のアプリまで開発されており手軽に通報することができ、小遣い稼ぎに利用している人も多いらしい。多い人は1日10件以上というから驚きだ。

中国の密告制度は韓国とは違い、共産党支配の体制維持を目的にしているもので、大規模で展開されており、監視社会化が進んでいる。スパイ行為やテロ、社会主義制度の転覆、国家分裂を扇動する計画などを一般市民からの密告を奨励する専用サイトまであるという。

当然、報奨金も大きいため“お金目的”で嘘の密告をする人もいるようだ。

そういえば、過去に写真撮影をしていた日本人が密告されてスパイ容疑で逮捕されるというケースを聞いたが、報奨金目的で密告され逮捕されたのなら、実にヤバイことである。

大学でも教授が習近平、もしくは中国共産党に不誠実でないかとうかを、学生の通報者が見張っていており教職を追われた、もしくは制裁を受けたという事件が年々増加傾向にあるらしいというから驚きである。

密告制度はともかく、世界の多くの人と国と社会にストレスをかけている新型コロナウイルスは、次々と人の本性を暴いていく気がしてならない。今は1日も早い終息を願うばかりだが、住みにくい世の中にならなきゃいいなと思う今日この頃である。

KUMODE