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クモデコラム
COLUMN

2021/5/19

2021年5月 死生観と仕事観

4月後半、名古屋市の安江工務店の安江さん、5月中旬には鹿児島県の川畑瓦工業の川畑社長が他界された。安江さんはボートによる海上事故、川畑さんはかねてからの病気療養中にてということだった。お二方には生前、大変お世話になった。大変残念である。心からご冥福をお祈り致します。

知人や身近な方、中小企業経営者の方の訃報を聞くと、我が身における死を考えざるを得ない。改めて自分もそんな歳になってきたのだという思いがある。これは同年代経営者が多いジャックグループの方も同じ思いだろう。

私は2012年に胆のうに大きなポリープが発見されたため、胆のう摘出手術をしたのだが、その胆のうからガンが発見された。

「え、俺がガン??」

主治医から説明があった時、頭が真っ白になった。

帰路の車中、家内に心配をかけないようどう説明しようか考えていたことを鮮明に覚えている。食生活の改善、体調管理方法、人間の免疫や現代医学の問題点など自分なりに情報を集めた。

しかし自分の身ばかり考えてられないということも同時に受け入れた。

私はそれを機に私が死んだ時のための「ラストメッセージ」を作成した。顧客、取引先や銀行などへの連絡方法、葬儀やその後の経営方針についてなど、会社が滞ることのないように記載してある。

また残された家族に対しては死亡退職金や負債やローン、また細かい話になるがさまざまなIDやパスワードなどもわかるようにし、遺言書を作成。そこに遺言執行人を指定した。

おかげさまでその後、経過観察期間を経て再発することもなく完治したが、ラストメッセージや財産目録などは毎年更新している。

今思えば2012年は私がこれまでの人生の中でも最も自分の死について向き合った時間だった。また同時に準備をする機会でもあった。

若い時は死がただただ怖かった。だが今は怯えているだけではいられない。そういう年齢になったという自覚はある。死生観と仕事に就いて。今回の二人の死をめぐり、自分のこれまでの人生を振り返ってみた。

「努力してきたか?」

いや、努力はまだ全く足りない。むしろ努力などしてきたという実感はない。

「何かを残してきたか?」

残してきたとは到底思えない。満足感も充足感もない。あるのは停滞感と焦燥である。

ではこれまでに私を支えてきたものは何か?

努力でも結果でもなければ何が今の自分を導いてきたのだろうか?

それは「運」と「タイミング」だと思う。リフォーム事業を起業するきっかけ、最初の社員との出会い、全国の仲間と出会ったことなど全ては「運」と「タイミング」だったような気がする。

会社の組織化は2014年の増税で七転八倒したことがきっかけで、顧客中心主義経営は2020年のコロナ禍がきっかけだった。

仕事とは何か?と最近、よく考える。

やりたいことがあると退社する社員もいる。私も昔はやりたいことが仕事になると幸せだろうなと思うこともあった。しかし今ではそうではないとキッパリと言える。やりたいことの延長に仕事はない。仕事とはそういうものではない。では仕事とは何か?

幕末を生きた高杉晋作は辞世に「おもしろき こともなき世を おもしろく」と残している。

私はこれまで「運」と「タイミング」を大いに感じて生きてきた。その「運」と「タイミング」の流れの中で必死に目の前の仕事に取り組んできた。

苦しい時も悲しい時も生きなくてはいけないし、仕事はしなくてはいけない。

「おもしろき こともなき仕事を おもしろく」

これがまさしく仕事の本質である。

私たちができるのは常に今を必死に生きることなのだと思う今日この頃。

KUMODE