2021年7月 第7回Jackリフォームアイデアコンテスト
昨年はコロナ禍により開催が見合わされていたコンテストが今年はオンラインにて開催された。今回開催するにあたってさまざまな点で変更、改善を行った。
まず外部に委託していた企画・運営を今回からは事務局が担うことになり一からのスタートとなったこと。コロナ禍を受けて初のオンライン開催にしたこと、また開催が2年ぶりということでコンテントの応募数など不安な点も多かった。
それに加え開催2日前に東京では緊急事態宣言が発令されたこともあり当日のスタジオでの審査会もさらなる感染対策をするなど緊張感も増した。
そんなコンテストだったが結果的には全面改装部門・部位別部門合計で138作品が集まり当日の運営も無事終えることができた。
優秀賞を受賞した作品のどれも素晴らしくレベルの高いコンテストになった。
グランプリ候補も見事な作品だった。応募して頂いた建築士・設計士の皆さんには心から敬意を表したい。
開催することをギリギリまで迷ったが無事閉幕できて本当に良かったと思う。スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
さて7回目を迎えたコンテストだったが前回までと審査員のメンバー構成と審査方法でも大きな変更をした。
これまでのコンテストの審査委員にJackグループの運営委員やメディア関連の方も参加して頂いていた。当初の主旨として工夫されたアイデアに焦点を当てたいという思いがあったこともある。
しかし年々、開催するごとによりレベルも上がり応募作品も充実をしてきた。
そこで「純粋なオープンコンテストにしてレベルをあげていきたい」という思いから審査会のメンバーを再選考することになったのである。
今回の審査会のメンバーは3名。リフォームの第一線で仕事をしている現役の設計士2名とインテリアコーディネイターの方1名に依頼した。
イン・ハウス建築計画の中西先生、カガミ建築計画の各務先生、インテリアコーディネイターの荒井詩万先生である。中西先生は第2回から継続して審査員として参加して頂いており、コンテストの概要や運営についてもアドバイスして頂いている。各務先生は主にマンションの高級リフォームを手がけている設計士の方で、荒井先生はインテリアコーディネイターとして活躍されている方だ。
今回審査員をお願いしたお三方は、現在も実際の現場で顧客と向き合い仕事をしている方々である。
審査の講評を聞いたが卓越したセンスはもちろんのこと、言葉の1つ1つに普段の仕事にかけている情熱を感じた。
私は長らく現場実務から離れている。しかしリフォームの面白さと醍醐味を再認識し同じリフォーム業界にいる者として身が引き締まる思いがした。
中西先生が「年々レベルが上がっている」と総評されていた。嬉しい限り。来年が楽しみである。
閑話休題。
岐阜県・飛騨高山には左官職人で全国的に有名な挟土秀平氏がいる。
天然の土で塗壁や創作活動をし、世界からアーチストとして声がかかる職人だ。
私も創業当時、弊社の仕事でお願いしたことが何度かあったし、自宅の内外装は挟土氏率いる挟土組に施工して頂いた。
当時、日本全国で土壁や左官アーティストとして名を馳せていた挟土氏に「実際の仕事でデザインや作品にかかる売上ってどのくらいですか?」と聞いたことがある。
すると「仕事の7割は普通の左官工事です。3割が意匠的な仕事です」とのこと。
私は彼の仕事を見ているとてっきり逆だと思っていた。デザインや作品のような仕事が7割だと思っていたのだ。しかし実際は違った。
「どんなに派手に見えても実際は地味な作業をしているよ」
この言葉を今でも鮮明に覚えている。
今回のコンテストでの作品はどれも明確な意思と方針、そして作り手と顧客の思いが伝わってくるようなものばかりだった。画角に収められている住宅の風景は新たな命を吹き込まれたかのように生まれ変わっていた。
学生であればこのような仕事を見て「リフォームってすごい、リフォーム設計に携わりたい」と思う人がいるだろうし、そのような夢のある業界にしていかないといけないなと思う。
しかしどんな仕事も実際は地味で単調なことの繰り返しであることの上に成り立っていることを忘れてはいけない。
経営も同じである。派手であればあるほど、水面の下では思いきり足を動かしているものである。
今回のコンテストの意義の1つとして、地味で単調な仕事を目一杯頑張っている人たちの晴れ舞台とモチベーションになってほしいという願いもあった。
日頃の仕事に向き合うことの大切さを再認識した次第。
私も大いに刺激になった1日だった。
KUMODE