東京オリンピックが閉幕した。スポーツ観戦が好きな私にとってはそれなりに楽しめた２週間だった。しかしここまですったもんだがあったイベントも珍しいのではないか。これまでのトラブルをまとめてみよう。

・安倍首相がＩＯＣの総会で原発事故後について「アンダーコントロール（制御）されていると保証する」と発言。実際は増え続けている汚染水の処理案もまとまっておらず２１年３月、海洋放出することが決定。漁業関係者や近隣諸国から批判が続いた。

・２０２１年、新国立競技場のデザイン案にザハ・ハディド氏の案が採用されたが高額な総工費が問題となり撤回。再コンペが行われ隈研吾氏らの案が採用された。

・ＩＯＣはマラソン会場を東京から札幌へ移す案を一方的に発表。

・アートディレクターの佐野研二氏の東京五輪エンブレムがベルギーのデザイナーの盗用だと疑いがかけられ決定を撤回。佐野氏は会見で「パクったことはない」と反論したが、佐野氏がデザインしたサントリーのトートバッグのデザインにも盗用疑惑が発覚。最終的に佐野氏はウェブサイトでスタッフがやったこととし謝罪。

・仏捜査当局は五輪招致をめぐる贈収賄の容疑で日本オリンピック委員会の竹田会長を容疑者とする捜査を開始。竹田氏は記者会見で汚職を否定したが記者からの質問は受けず７分で終了。同年６月任期満了にて退任する意向を発表した。

・当時の森組織委員長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言したことが「女性蔑視」だとして問題化。記者会見でも質問を愚弄し世間の反発を受け退任することに。これを受けて多くのボランティアが辞退を申し出る騒動になった。

・新型コロナウイルスの感染拡大を受けて１年延期が決まった。

・辞任を表明した森氏は友人の川淵三郎氏に電話し、後任指名を依頼。川淵氏もそれに応じたが密室人事に批判が強まり川淵氏は辞退。橋本聖子氏が就任した。

・開閉会式の演出チームのリーダーだった佐々木宏氏がタレントの渡辺直美さんをブタにデフォルメした演出プランを提案していたことがリークされ、ひと騒動に。佐々木氏は辞任をした。

・海外からの一般客の受け入れをしないと決定。一都三県で開催する競技も無観客で開催されることが決定した。

・閉会式の楽曲を担当する予定だった小山田圭吾氏が昔、いじめを行っていた過去を自慢気にインタビューで話していたことが発覚。ツイッターで謝罪したが時すでに遅し。辞任をした。

・開閉会式のディレクターを務める小林賢太郎氏が過去にホロコーストを連想させるコントをしていたことが問題視され、その動画が拡散。中山防衛副大臣がユダヤ系人権団体に通報し団体は即座に声明を発表。小林氏の更迭を要求。マッハの速度で小林氏は解任された。

・菅総理は「新型コロナに打ち勝った証として東京五輪を開催したい」としていたが、来日する選手団の中から陽性者が続出。国内感染者も開会前が行われた７月２３日は約４２００人だった感染者数は閉会式の頃には約１５０００人と激増。まん延防止充填措置、緊急事態宣言など対象地区が追加された。

・当初はコンパクト五輪を掲げて約７３００億円だった予算が終わってみると１兆７０００億円に膨張。史上最も高額な大会になることが確実視。関連予算、諸経費を合わせると３兆円になる予測もある。

・女子ソフトボールの女子選手が表敬訪問した名古屋市長の河村氏にいきなり金メダルをガブリと噛まれたことがニュースに。ありとあらゆる人がこれに反応。河村氏は選手の所属先のトヨタ自動車へ出向いたが、面談を拒否された。海外メディアもこの出来事を大きく取り上げ、「世界のカワムラ」と表されるハメに。どのメダリストよりも目立つ騒動に発展した。

（以上ここまでトラブル一覧）

まだまだ続きそうな五輪関連ニュースだが、この数年はスポーツに興味のない人も含め、東京五輪が多くの国民やメディアの関心事であったのは事実だ。

ワクチン接種を急ぎ、集団免疫を獲得したいと国はリードしているが、２回接種した人も感染する「ブレークスルー感染」の事例も多く出てきている。（米国は１日あたり１０万人以上の感染者数となり再流行の兆しである）

よくも悪くも近年の話題の中心だった東京五輪。海外向け製造業の大手企業業績は回復傾向にあるようだが、なかなか収まりそうもないコロナ禍。穏やかな日常が戻ってくるのはいつの日か。

とまあ、そんなことより、これで新規反響も少し戻ってくるかなと期待したい今日この頃である。

KUMODE