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クモデコラム
COLUMN

2021/10/11

2021年10月 長期政権の功罪

10月、第100代首相に岸田文雄氏が選出された。自民党総裁選では真っ先に名乗りを上げ、実質的に河野太郎氏との一騎討ちを制した形での勝利だった。

菅前首相の評価を占めていたのは新型コロナウイルスへの対応、東京五輪と政治が簡単ではない時期であっただけに二分しているが苦難は国民も同じこと。

納税者からすれば「ご苦労さん」という感じだ。


さて岸田新首相が10月8日、国会で初めての所信表明演説をした。

コロナ禍の影響で生活の苦しい非正規労働者や子育て世帯向けの給付金支援、脱炭素社会に向けたクリーンエネルギー戦略、また経済政策では成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現を目標に掲げた。

内容はどこかで聞きかじったことばかりで特に目新しいものは何もなかった。さらに選挙前ということもあってよりポピュリズム化した政策が印象的だった。

(行政の長など誰がやっても同じか)が私が感じた正直なところ。


さて文春オンラインで面白い記事を見つけた。

現役の財務省事務方トップの矢野康治事務次官のインタビュー記事である。財務官僚は官僚のトップエリート。その現役事務次官が現在の日本の置かれた状況と政治家に対し辛辣な言葉を発していて刺激的だった。

「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。数十兆円ものの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費増税の引下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵のお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます。」(引用ここまで)

何せ文春なので「煽り気味」に書かれていることは差し引いても、論点は極めてまともで、ポピュリズム化した政治家と現場責任者の間のジレンマがよくわかる。(もちろん財務省にも大きな問題があり課題は多い)


これは先のアベノミクスやコロナ禍での補償、給付などを指していると思うのだが、官僚が政治家にひれ伏す理由の1つは、長期政権による権力の集中、特に内閣が人事権を持ったことが大きいと思う。

先の安倍政権、長きに渡る自民党政権。奇しくも安倍氏とタッグを組み大胆な金融緩和を実行した日銀総裁の黒田総裁も9月に在任が歴代最長になった。

閑話休題。

長期政権は何を生むのか?安定か?それとも混乱か。

大国で長期政権を目論むのはこの2人。

まず中国の習近平氏である。中国は元々は国家主席の任期は連続して2期(1期5年)を超えてはならないとされていたが、2018年にそれを撤廃。習近平氏は着々と長期政権の準備をしていると伝えられており一説によると2035年までの計画もあるという。習近平氏の政治方針は明確だ。新疆ウイグル自治区の弾圧などの人権問題に対しては断固たる態度をとり、共産党に対して批判的な発言をした企業経営者へは制裁を与える。アリババの元経営者、ジャックマー氏の退任も誰がどうみても習近平氏に目をつけられた結果だろう。また最近では仮想通貨(ビットコインなど)の決済や情報影響サービスなどを全面停止にすると発表した。どこまで実効性があるかわからないが「習近平に目をつけられたら監獄」は今の中国の国家体質。共産党は習近平そのものだと考えていい。

同じく長期政権を目論んでいるのがロシアのプーチン大統領。同氏は元KGBでスパイ活動をしていたと言われているタカ派で政治手法は過激で「気に食わない奴は殺す」とのこと。

これまでもリベラル派の政治家、批判するジャーナリスト、人権家、野党指導者など殺害、失踪しておりゴルゴ13も顔負けの迫力。今年ノーベル平和賞を受賞したロシアの報道機関のムラトフ編集長は受賞に際し「命を捧げた仲間に捧げる」とコメントしている。

ロシアは以前の憲法では大統領の任期は1期4年、連続3選が禁じられていた。そのため最初の2期目終了後は首相となり、側近のメドベージェフを大統領に就かせた。任期満了後、大統領に復帰。その後、法を改正し大統領任期を1期を6年に延長、さらに任期の制限撤廃とした。これで改憲と同時に大統領経験者の任期をリセットできるためプーチン氏は改めて立候補でき最大2期12年、2036年まで大統領に就くことができる。1期目の就任が2000年だからなんと36年の実質支配ということだ。世界の各地で豪華な別荘を所有しているとされるプーチン氏。最終ゴールはロシア新帝政になるつもりなのだろうか。


日本でも安倍政権が長期政権を築いたことは記憶に新しい。心理的な安心感もあったが人事権など権力集中による組織の私物化、忖度を生んだことは事実である。

さて日本は菅首相が約1年で退陣し岸田新首相になった。

本人にとっては晴れの舞台であろうが、引き続き問題山積の国内問題をどう対処してくのだろうか。お願いだから増税だけは勘弁してほしいが。

しかし考えてみると誰が首相をやって国民にとってさほど何も変わらないとしたら、それはそれで日本という国はよほど成熟しているのかもしれないと思った所存。

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