私をよく知る人から「蜘手さん、来年の予定は決まりましたか？」と聞かれた。

言われて気がついた。コロナ禍の前なら、この時期には会議、研修、海外や国内ゴルフ旅行などのスケジュールはほぼ決まっていた。しかしこの２年間はほとんど出かけることなどなかったから、スケジュールを立てることすら忘れていた。

そう言われて、ここ最近の過去のスケジュールを見たが遠出などほとんどなかった。宮崎、北海道に行ったぐらいで東京、大阪へは行っていない。

代わりと言ってはなんだがゴルフの回数は増えた。少しは腕前も上がったが、ま、それでよしとするか。

休息や旅行、リフレッシュについて。　

近年、マイレージポイントの消費もあって年間１０回近く海外へ行っていた時期もあった。今思えば、何が楽しかったんだかと思わないではないが、得られるものも大きかった。

例えば弊社の価値の１つである工事会社の仕組みはバンクーバーでひらめいた。工事１２年保証はロサンジェルスでも思いついたアイデアだし、有料制顧客サービスのロビンファミリークラブの規約変更と拡大はベルリンへ行く飛行機の中で考えたものだ。リフレッシュしたからか、それとも海外での非日常がそうさせたのかはわからないが、私の場合はひらめきやアイデアはリフレッシュの中から生まれたものが多い。

「アイデアやイノベーションを考えるなら最も遠い場所へ行け」まさしくその通りだと思う。

今回、いい機会だったので旅行に限らず心身のリフレッシュや、休息とはどういうものかを考えてみた。

「仕事に貴賎なし」といわれることがあるが、私は貴賎はなくとも「重い仕事」とそうでない仕事の区別はあると思う。

例えば人生の大きな買い物の１つである住宅。顧客はローンの頭金やリフォーム資金を捻出するために、欲しいものを我慢し長い時間をかけ貯金をしたり、また人生の多くの時間を費やした退職金を充てる場合もある。

それは金額の大小に関わらず重いお金であり、私たちはその重みに応える仕事をしなくてはならない。顧客にとって家は人生そのものだ。だからそれを扱う人には人生観が必要である。仕事を軽く扱ってはならない。私はそう考えている。

社員との距離が近い中小企業経営者も重い仕事だと思う。支払った給与で社員は生活し、子供を養いそして教育をする。また取引先の業者や職人も同じである。私は常々、社員には「発注は社員の給与を払うことと同じである。つまり発注は経営であるからその重みを理解しろ」と伝えているが、中小企業経営者は周りには大きな影響を与えている人生がたくさんある。これはもちろん大企業経営者、サラリーマン経営者でも同じだが、彼らには代替えできる人がいる。特に大手は株価と数字のためにリストラやレイオフ（労働者の一時解雇）などもいとも簡単に行われるし、大企業に務めるサラリーマンはその宿命を最初から理解している。

しかし中小企業はそうはいかない。経営者を代替できる人はおらず、すぐそばに他人の人生がある。「家族経営」とは陳腐な言葉に聞こえるが「家族経営」は中小企業の宿命なのである。

「軽い仕事」とは何か。誰かの人生の責任を関係することなく、多少の訓練を積めばでき、結果に対して何か変わることも少ない。ルールも規則もありそれは遵守されている。そんなイメージだろうか。

そのような軽い仕事をしている人はストレスや結果に対する圧力も少ないから、休みの日もダラダラとYoutubeをみて過ごせばリフレッシュできるだろう。

しかし重い仕事をしている人は常にストレスを抱え、仕事の結果を求められている。体は休めても頭がリフレッシュすることなんかない。特に中小企業経営者の中には常に資金繰りの不安を抱えている人も多いだろうし、また資金について悩んだことのない人はいない。

重い仕事をしている人は頭は常にフル回転しているのだから、静かな休息ではなく、アクティブな休息を取ったほうがいい。休みを取り、１人で静かに過ごしても余計疲れるし、休んだ気になれないという人は少なくない。以前の私のように非日常的な海外へ行くのもいいし、何もかも忘れられるスキューバダイビングもいい。海外へ行きにくいなら国内旅行もいい。どうりで周りの経営者には遊び上手や息抜きを派手にする人が多いと感じていた。ごく自然に重みのある仕事とのバランスと取る方法を会得しているのだろう。

来年、行きたいところをメモに書き始めた。８月は秋田大曲の花火、１１月には出雲大社の「神在祭（かみありさい）」を体験したい。また昨年やったPS４「ゴーストオブツシマ」の舞台、対馬にも行ってみたいと思うし、夏前には北海道ツーリングをしてみたい。アクティブな休息が必要な方、どなたか、ご一緒されませんか？

KUMODE